総天蚕の紬織着物
古い話になるが、総天蚕の紬織物は数点織ったことがある。しかし、天蚕の持っている素晴らしさを十分に引き出せたかと言うと、なかなかそうではなかったようだ。天蚕に長い間たずさわってきたこともあるが、ようやく全容が理解できてきたということか。しかし長い時だったのではないか・・・、いろいろの要因はあるのだが。この仕事場では先代より天蚕は身近なものだった。小さな頃から親の自転車の荷台のカゴにのって有明の地まで出かけたことは何回も覚えている。ただそれが天蚕を求めて出かけたのだとは、もちろん知らなかったが。物心がつく頃には、いろんな人が繭袋に天蚕の繭や糸や手屑を詰め込んだものをもって仕事場にきていた記憶はある。長じて気が付けば織物の仕事をしていたと言うことか。
・・・この続編は次回に