天蚕の持つ特徴は・・・
天蚕糸の特徴とは、簡単に言えば四種あると言える。
その特色は、先ず野蚕種であること・繭は緑色をしているが
この色は繊維が持つ色ではないこと・繊維には強い輝きがあること。
これが天蚕の特色かな。そうだもう一つ上げるなら繊維内の気泡の
多さが温度を保つ・この特色を全てを同時に一繊維にして表現する
ことは難しい。それぞれの特色の一つ取って表現することは容易で
あるが、それはそれで十分に存在感はある。
この紬の天蚕の着物は糸の持つ特色をそれぞれに使い回して製作し
た作品である。先ず経糸は製糸した天蚕糸を合糸して撚りをかけ、
艶を求めて精練したものを経糸とする。これは艶を求めた経糸
である。緯糸には緑色をした繭の色をそこなわずに一本の糸に紡ぎ
だす。天蚕の繭は表面は緑色、芯に行くにしたがって色はうすくなり
白い繭になる、最後に蛹が残る。繭の緑色は全体の数パーセントで
ある。その数パーセントの生皮苧部分から緑色の糸をひきだす。
勿論、緑色がなくなった部分も紡ぎ糸にする。それらを織り手の感
性にまかせて織り上げてゆくのである。(この着物は白い部分の
糸を極力避けている)
性にまかせて織り上げてゆくのである。(この着物は白い部分の
糸を極力避けている)
Photo by kobayashi
「織りあがった総天蚕の紬着物」